今回の記事では、2022年前半戦の阪神タイガースのスタメン分析と総括を行いますが、その前にまず、月間成績を振り返りたいと思います。
3・4月 30試合 9勝 20敗 1分 92得点 110失点
5月 24試合 11勝 13敗 0分 63得点 51失点
6月 23試合 14勝 8敗 1分 107得点 75失点
7月 17試合 12勝 5敗 0分 58得点 28失点
3~5月は借金13、6月以降は貯金13で勝率5割となっています。
続いて、スタメン分析に移ります。まずは、打順別の先発出場数です。赤字は打順毎の最多、太字は全試合、黄地は開幕スタメンを表します。
全試合スタメン出場は近本選手、中野選手、佐藤選手の3人です。近本選手は開幕を1番で迎えましたが、6月以降は全試合3番で起用されています。中野選手は開幕を含め2番を多く打ちましたが、6月下旬からは全試合1番です。佐藤選手は5月上旬までは2番や3番での起用もありましたが、5月中旬以降は全試合4番となっています。
他には、大山選手、糸原選手が規定打席に到達しています。開幕5戦目以降は大山選手は主に5番を、糸原選手は主に6番を打っています。島田選手が1・2番で起用されるようになった6月以降は、ここまでの規定に到達している5人と島田選手の6人がほぼ固定で1~6番を打っており、基本的には後半戦もその形は続くと思われます。ただし、新外国人のロドリゲス選手次第では少し変わる可能性もあります。
7番については今後も流動的な起用で、調子の良い選手を使うと思われます。8番捕手についても梅野選手・坂本選手併用が続くと考えられます。8番投手の奇策については西純矢投手のみあり得るかもしれません。
次に、ポジション別先発出場数です。
全試合スタメン出場の3人のうち、近本選手と中野選手についてはそれぞれ全試合センター、全試合ショートでの出場となっています。近本選手はフルイニング出場、中野選手は1試合を除きフルイニング出場で、大事なセンターラインの守備を支えています。
佐藤選手はサードとライト半々の先発出場となっています。ただし試合中にサードからライトへ移動することも多いので、イニング数としてはある程度ライトが上回ります。開幕時はライトでしたから、構想としてはライトだと思われますが、チーム事情(と本人の希望?)もありこのような起用となっています。
一方、開幕サードの大山選手は開幕8戦目以降は一度もサードを守っていないので、ファーストにコンバートされたものと思われます。が、今後はロドリゲス選手をファースト起用していくと思われますので、後半戦はレフト起用が増える可能性が高いです。
開幕セカンドの糸原選手は、その守備力の低さを懸念されてか、セカンドを山本選手に明け渡しサードで起用されることがしばしばあります。今後も両睨みの起用になるでしょう。
以上を踏まえての今後の展望です。まず打順については6月以降の形が基本になってくると思います。とくに「1番中野・3番近本・4番佐藤輝・5番大山」は固定になるでしょう。他方2番には山本選手が(現在はコロナ陽性)、6番にはロドリゲス選手が入る可能性があります。
ポジションについては、まず「ショート中野・センター近本」は引き続き固定です。ロドリゲス選手がファーストに定着すれば、大山選手はレフト固定になるでしょう。あとは相手投手の左右によって島田選手、山本選手の使い分けがされると思うので、その煽りを食って、佐藤選手はサードとライト、糸原選手はセカンドとサードに入る可能性が高く、固定はされないと思われます。
ここまでは客観的分析でしたが、少しだけ私見を述べます。1点目は、左腕投手相手にも島田選手をスタメン起用するべきということです。起用しない限り打てるようにはなりませんし、何より長打力に期待できないタイガースにおいて守り勝つ野球を体現できる選手だと思うからです。ただしそのためには糸原選手の出場機会を減らす必要が出てくるので、そこが矢野監督からするとネックかもしれません。
2点目は、将来に向けて若手を起用して欲しいということです。具体的には高卒2年目の髙寺選手と高卒3年目の井上選手です。今季は早々にヤクルトの優勝が決まると思うので、少なくともその後(V逸決定後)は起用してもらいたいですね。
最後に、総括をしていきます。まずトータルの採点としては55点といったところです。確かに借金完済は高く評価するに値しますが、そもそも借金16まで行ってしまったことがおかしいわけです。いくら開幕でコケたと言っても借金5程度では留めておかなければならなかったと思いますし、それならば面白い展開になったでしょう。
野手陣では、近本選手、中野選手、佐藤選手の3選手には賛辞を贈りたいです。それぞれに物足りなさはありますが、ずっと出続けているということが何より素晴らしいですし、ファンからすると「ホンマにありがとう~」としか言いようがありません。ただMVPとなると大山選手ですね。紛れもなくV字回復の立役者です。後半戦では本塁打と打点の数字を"大台"に乗せる活躍を是非とも期待したいですね。
投手陣ではまずは青柳投手ですよね。チーム内MVPはもちろんのこと、球界を代表する投手の一人にもなりつつあります。防御率のタイトルを何としても取ってもらいたいですし、沢村賞の期待もできます。また伊藤投手も素晴らしいですし、西勇輝投手も良い働きを見せてくれています。そして、V字回復のもう一つの要因がリリーフ陣です。湯浅投手を筆頭に本当によく機能しています。後半戦はますます彼らの力が必要になってきますね。
後半戦に期待することは「上記で名前が挙がらなかった選手たちの活躍」と言いたいところなのですが、言いません。むしろ上記の方々のさらなる活躍を求めたいです。CS進出を確実なものとし、大逆転優勝を伺うためには、主力選手の異次元の活躍の方がよほど有効です。主力選手が一人でも多く殻を破って、目を見張るような活躍をすることを切に願っております。
本日は以上です。明日からのヤクルト3連戦、今は楽しみです。悪夢の開幕9連敗を取り返すような、夢の後半戦開幕ダッシュに期待しましょう。